2008年04月28日

髪を抜く

自閉症者の問題行動にはいろいろありますが、周囲にはそれほど迷惑はかけないけど、傍から見て「やめてよ〜」と泣きたくなるのは自傷行動だと思います。
私が以前目撃してショックを受けたのは、壁に自分の頭を激しく叩きつける行為。とても痛そうなのに何度も何度も繰り返して、そばでお母さんがおろおろしていました。
自閉症児・者は痛みに鈍感という傾向はあるようです。ウチの息子も痛みで泣くことはめったになく、たまに泣いたら「よっぽど痛かったんだね」と周囲が顔を見合わせる感じでした(この20年でほんの数回、最後が何年前だったか、思い出せないです)。
痛みの刺激が程よいのか頭を打ちつけたり拳骨で叩いたりする人は、その後よく見聞きしました。手をしょっちゅう噛んでタコになっているのもたまに見ます。

我が家は、幼い頃の夜驚症というのか夜中にひとしきり泣きわめく行為、極端な偏食、服やカバン、履物などを破る行為には悩まされました。
成長とともにそれほど深刻なことはなくなって、ラクになったと思っていた矢先、びっくりするような事態が持ち上がりました。なんと、頭(前)頂部の髪を抜き「河童ハゲ」になりかけていたのです。三蔵法師のお供の沙悟浄、あれ…。
髪の毛を抜くという行為自体は自閉症児者にはよくある話で、息子の学校にもこれが原因で丸坊主にされるジヘイちゃんはたまにいました。

昨夜、入浴中の私のところに娘がやって来て、「○○の頭、ヤバイよ。明日床屋さんに連れて行ってよ」とガラス戸越しに訴えます。
「エッ、そんなに? …床屋さん開いてるかなあ」とうろたえた私。火曜日が定休日ですが、たまに月曜日と連休するのです。ホントは週末がいいけれど、いつも空いている平日の夕方に行くことにしています。
お風呂を出て見てみたら、それほどでもなくホッとしました。このごろは生活時間帯がずれてあまり顔を合わさないので、たまに見た娘は仰天したのでしょう。
数日前から少し地肌が見えて傷があるので、薬を塗ったりはしていました。
髪を短くした方がいいかな、でももうちょっと暖かくなってからの方が…と考えているうちに、ぎょっとする薄さになってしまいました。

ときどき髪の毛を抜いて口に入れることはありました。前歯の間(裏側)が黒ずんでいるのを発見して歯科に連れて行ったら、虫歯ではなく髪の毛でした、けっこう取れましたよと笑われたことも。
見かけたら注意するのでその場では止めていましたし、髪の毛は人の二倍はあるという話(父親譲りです)なので、あまり気にしないでいました。息子は私より背が高いので上から見下ろすことがあまりなく、正直なところ、注意して見てなかったというのもあります。
気がつくと頭頂部がすっかり薄くなって、爪のあとか、かさぶたのようなものがいくつも見えます。一人で部屋にこもる時間も長いので、手持ち無沙汰でつい髪を抜いていたのでしょう。
今まで自傷行為はあまりなかったので、こちらも甘く見ていたと反省しています。
行きつけの床屋さんが開いていたら、帰りに寄って来るつもりです。


ここまで書いたあとで息子を迎えに行き、床屋さんにも寄ってきました。
うんと短くしてもらったので、薄くなった部分も目立たなくなりました。とりあえず一件落着。
それにしても、散髪が終わり台を降りてきた息子を見て、「アンタ誰?」と笑ってしまった私。こんなに短くしたのは初めてで、息子も不思議そうに頭を撫でたりしていました。
これで髪をむしるのを止めて、きれいに生え揃えばいいのですが。爪が立たない長さではないので、まだ油断は出来ないかもしれません。

床屋さんで待っている間に、置いてあった週刊ポストを読んでいたら、「赤ちゃんポストに障害児が入れられていた!」という記事がありました。
共同通信が配信したのみで、ほかのメディアは触れなかった。ポストの記者が取材したら、赤ちゃんのプライバシーを守る観点から答えてはもらえなかったけど、否定はしなかったそうです。
障害児が置かれたことは以前にもあって、そのときは後日親が引き取りに来た。このニュースは私も聞きました。
思い詰めて殺すくらいなら、ここに置いて他人に託すのもいいでしょう。でも「こんな子ヤダ、育てたくない」という親のエゴを助長するおそれも十分考えられること。メディアが沈黙するのは賢明なのかもしれませんね。
生後20年たってもまだ床屋さんのお供。障害児の親は終わりのない特殊な任務を負うので、育てられない人がいても不思議ではないとあらためて思います。
posted by dashi at 22:52| Comment(3) | TrackBack(0) | 自閉症関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
dashiさん、こんにちは。

髪の毛がさっぱりして、本当に心機一転という感じですね。

私の周りの同級生でも、過去に髪を抜いていた人は数人いました。ストレスだったとは思いますが、やっぱりまだらになってしまって本人もつらそうでした。

赤ちゃんポストに障害児の赤ちゃんが入れられていたんですか・・・。一見してわかる障害児で病院での診断がついている子であれば、比較的簡単にお母さんが誰か分かるかもしれませんね。
世話をするという問題だけでなく、生まれた後に父方の一族から責められたり、協力を得られないという問題も多々あるのかもしれません。どうして嫁のせいだけにされることが多いのか納得がいかないのですが…。

とはいえ、簡単に受け入れてください、仲良く頑張ってくださいときれいごとだけが言える軽い問題でもなく、ケースバイケースとしか言いようがありません。

このあたりは、結論というものはない問題なのかもしれません。
Posted by Kashin at 2008年04月29日 00:52
息子は2歳ぐらいから激しい自傷があって、一番ひどい時は部屋中に「エアーシート」(プチプチするアレです)を貼っていたことがあります。
今は目立たなくなりましが、頭は叩くことありますね〜。あとは歯茎をいじったり、睫毛をひっぱったり。形をかえて残っていくんじゃないかと思ってます。
赤ちゃんポストの件、見出しだけ目にしました。
「障害児を捨てるなんて!人としてとんでもない」といったのが世間の考えなんでしょうね。
私からすれば「障害児だから育てられない事情があるんじゃないの?」と思ってしまうのですが。
自閉症児は早くても診断受けるのは2歳前後だし、成長過程で何となく気付くことが多いので、産後すぐに「障害児です」と言われた親とどっちがつらいかというとちょっとわかりませんが・・。
Posted by gege at 2008年04月29日 15:36
Kashinさま、gegeさま、コメントありがとうございました。
あとで引き取りに来た親の場合、赤ちゃんポストに預けてその間に気持ちを落ち着けた(覚悟を決めた?)という、理想的な使われ方だと書いてありました。
出産直後、心理的に周囲のフォローが受けられない場合、一時的な緊急避難として赤ちゃんポストを使うのは、たしかに賢明だと思います。今回も、しばらくしてから引き取りに来てくれたらいいですね。

障害児を育てるってことはきれいごとじゃすみませんから(いやほんと、他傷・自傷の子の親は無理心中したくなっても無理ないです。gegeさんエライ)、社会の受け皿が増えて欲しいです。以前と比べたらかなり増えましたが、まだまだですね。
Posted by dashi at 2008年04月30日 14:54
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