2008年02月20日

米の作りすぎ

今朝の朝日新聞・青鉛筆欄に気になるニュースがありました。
短いので全文書き出してみます。
△米の作りすぎは「資源のムダづかい」。農林水産省東北農政局がこんなポスターを市町村や農協などに配っている。米の消費低迷の折、過剰生産は「もったいない」と訴える。
△東北6県は07年産米で全国一作りすぎた福島県を始め、全県が過剰作付けだった。自給率の低い大豆や麦への転作を促すのが狙いという。
△福島県内の農協関係者は「農家にとって米の重みは他と全く違う。農政局が言うことか」と怒り心頭。転作の「勧め」ならぬ「裏目」にならない?


マッタクひどい話だと腹が立ったのは件の農協関係者と私だけではないでしょう。
農政局はこのポスターを3万枚印刷して配るそうですが、作る人の気持ちや生活に全く配慮のない、無神経なポスターだと思います。
よくそんな「無駄づかい」ができますね。開いた口がふさがらない。
イージス艦事故のせいでほかのニュースはすっかりかすんでしまいました。農政局にとってはラッキーだったかもしれません。
地元の新聞社のHPにポスターの写真がありますのでご覧下さい。
http://www.mutusinpou.co.jp/news/2008/02/841.html
新聞社のHPではすぐ消えるかもしれないので、こちらもどうぞ。
http://jcp-fujikawa.sakura.ne.jp/wp/?p=394

日本の農民はここまでなめられていいんでしょうか。
毎日天候を気にしながら長時間の肉体労働に耐え、農協のローンで高い農機具を買い、勧められるままに農薬や肥料を買って使う。(たぶんそうだろうと思って書いています)
組織してデモを打つわけでもなく、近郊農家以外は兼業で収入を確保し、ただ黙々と勤勉に働く人が大多数だと思います。
幸い大災害にも遭わずに豊作となり、たくさんの米が採れた。
農政局が「このくらいならいいな」と思っているのよりずっと多かった。するとたちまち「なんで言うとおりに作らないの。多すぎるよ、資源の無駄づかいだよっ」となじられる。

もう昔のことになりましたが、記録的な不作となって外国の米(中国、カナダ、オーストラリア産の米に、タイ米も)を食べたとき、日本の米はなんて美味しいんだと感動しました。
日本の米がずいぶん高いものであることもそのとき知りましたが、今は自由価格になったからスーパーの特売商品になったりして、かなり安いのもあります。
多ければ安いで豊作貧乏というのも気の毒ですが、喜んで食べてもらえば少なくとも作る喜びはあるでしょう。それなのに、資源の無駄づかい、もったいないとはなんと失礼な言い草でしょうか。

アホらしくて米作りなんかやめてしまいたい、という気分になるんじゃないでしょうか。
でも、やってらんねーー!! とクワを投げ捨てる、というわけにはいかない。今の農業は農林水産省の方針で大規模農家を推奨しているはず、機械化も進んでいるでしょう。
田植え機一台、いくらするんでしょうか。それで大豆の作付けはできないですよね。
おいそれとやめたら莫大な借金が残るだけ…だと思います。

そもそも米を減らして大豆や麦に転換してほしいのは、国際価格が高騰したから。勝手なものだと思います。
大豆や麦を作って、米並みの収入を見込めるんですか? 見込めないから、みんな作らなくなったんですよね。保護貿易をやってはもらえないんでしょ?
減反政策で休耕田が増えたとき、ほかの作物を作るように指導を徹底して、国際競争に負けないような施策をとらなかった結果が、食料自給率のあきれるほどの低さにあると思います。
こんなに農耕に適した気候や国土に恵まれた国なのに!
お上の方針に沿って、営々と米を作り続けた農民が悪いんですか?
未曾有の大災害で大凶作となったらどうするんでしょう。大豆や麦の国際価格が暴落したら?

米を作る人を侮辱するより、米の消費拡大の努力をしたらどうなんでしょう。学校給食で米をもっと増やすとか、米で作るパンや麺類に対し国を挙げて推奨するとか。
「米は太る」という根強い偏見を払拭して、米の栄養価やヘルシーさをもっとアピールするべきではないかと思います。
http://www.iy-place.com/kome-eiyou/
米に含まれる主な栄養成分は炭水化物で、その他、タンパク質、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB1、ビタミンB2、食物繊維が含まれています。米を取り入れた食生活は、米自身が体に必要な栄養成分に必要な栄養素がバランスよく含まれている優れた食品であるという点に加えて、主食の米におかずを組み合わせることで更にバランスの取れたものになるというメリットがあります。

個人的には、食料自給率を上げるのには米をもっと食べてもらうのが近道なんじゃないかと考えますが、どうでしょうか。
もっと農業を大事にしてほしいなあと思ったニュースでした。
posted by dashi at 23:05| Comment(2) | TrackBack(1) | 社会問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 二年ぶりくらいのお久です。
 dashiさんの文章を全部読まないで書いてしまうのは申し訳ないのですが、一言。

 確かにそのポスターはひどいですね。でも、現実に「貧乏人は米を食え」の状況に近くなっています(歳が近いはずですから、この言葉が何のパロディかは言うまでもないと思います)。
 それはともかく、
> 組織してデモを打つわけでもなく、
というのはどうでしょう。昔の話になりますが、毎年春になると武道館に集まって、政府買い上げ米価切り上げ闘争をやっていましたよ。
 各県の組合に動員人数の割り当てが有って、地元から行くよりも東京にいる学生を雇った方が安いものだから、大学にアルバイトの募集が来たりしていました。

 農政の欠陥に関しては私はほとんど学んでいませんが、その辺がひどく歪んでいたことは確かです。その付けが積もり積もって現在にまで至っているわけで、ある意味では農民は自分の手で自分を絞め続けていたことになります。減反にしてもあの機会にもっと根本的なところを改善すべきだったのに、それをしなかった、させなかったから、こんなことになってしまっている。解っている人の根本的な認識はこのようです。

 そう言えば農政に付いて知っている知人もおらず、手早く質問するわけにも行かないのでこれはこのくらいにします。通りがかりに言いたい放題ですみません。 
Posted by 一円 at 2008年02月26日 14:56
お久しぶりです、コメント残してくださってありがとうございます。

私は、日本の農民は農協を通じて長いこと自民党に「飼い殺し」されてきたと思います。
武道館で決起集会やったとして、それだって「シナリオどおりに仕組まれた」茶番劇だと思います。デモは韓国や中国でやってるような、命がけのものを個人的にはイメージしてますが…。

いつの間にか補助金漬けにされて、自由化となると国際競争力がないから自給できない。続けるのも地獄、やめると更なる地獄、というのが今の日本の農業現場なんじゃないでしょうか。
(…と思ってますが…)
先の選挙ではついに、農民票が大幅に自民党から離れましたよね。これは画期的な出来事だったと思っています。
Posted by dashi at 2008年02月26日 22:29
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これは酷い!農家の活力を削ぐ最悪の農政
Excerpt: みなさん、これなんだと思います? なんと、東北農政局が作ったポスターだそうで・...
Weblog: 新しい「農」のかたち
Tracked: 2008-02-26 20:25
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