2008年02月09日

ひとり親

何年か前にご主人を亡くした友人と久しぶりに会いました。
一昨年に体験談を聞いたときには話しながら涙ぐんでいましたが、やはり日にち薬、だいぶ明るくなった印象です。
まだ働き盛りの40代と若かったので多少不調でも病院に行くのは後回しになっていたのでしょう、診察を受けたときにはすでに末期の癌で、闘病3ヶ月で亡くなったそうです。
彼女にもウチの息子と同じ知的障害を伴う自閉症の息子がいます。あとは受験を控えた高校生のお兄ちゃんだけで、身内は遠い地方に住んでいて手助けしてはもらえなかったようでした。

いよいよ危ないというころに自閉症の息子を入所施設に預かってもらったのだけど、そこでの対応がよくなかったのか、ひどく荒れた。精神病院に入院させると言われたのでタクシーで迎えに行ったりと、とても大変だったようです。
危篤のご主人が苦しい息の下から「俺のことはいいから息子のところに行ってやれ」と言ってくれたとか。
ご主人にはずいぶん心残りもあったと思いますが、せめてもの救いは社宅から新しい家に引っ越したばかりだったという点でしょうか。
社宅なら出なければなりませんが、ローンの支払いがなくなった家が残る(ローンを組むとき生命保険に加入させられます)わけで、少なくとも住むところの心配はない。遺族年金で生活も出来るようです。

今回、「ご主人が亡くなったあとって、鬱にならなかった?」と聞いたら、「息子のことで大変だったからもう夢中で、鬱になっているヒマはなかったわね」と笑っていました。
お兄ちゃんもお母さん思いの優しい子で、大変な時期をよく支えてくれたようです。
自閉症の子どもが小さいときって、中にはウチの息子のようにおとなしい子もいますが、信じられないくらいのエネルギーで周囲を振り回してくれます。
普通の子みたいに長い時間寝ません。何日も寝なくても平気な子もいます。
目を離すとどこに行くかわからない。車の間をぬって国道を渡ったりもします。
親はヘトヘトになって肝を冷やし寿命の縮む思いをするわけですが、うまくしたもので親がくたびれて更年期に悩まされるころには落ちついておとなしくなる子が大半のようです。
大変な時期に鬱になると、無理心中を図ったりしやすくなるのだと思います。

この友人の子はその後養護学校を卒業して、少し遠くの通所施設に入りました。情緒不安定なところがあって友人はずいぶん心配したらしいですが、今は落ち着いて通っているようです。
彼女は息子を朝夕送迎して、昼間は家事や趣味で穏やかに過ごしている様子。小さい織機を買って趣味の織物を始めたとかで、細い糸で織ったマフラーを見せてくれました。
それがとても品のいい見事な出来栄えで、私が率直にほめると彼女は照れくさそうににっこり。無心に集中して作品を織りあげる楽しみが、どれほど彼女の救いになっているかと思いました。

彼女も私も、おそらくは障害のある息子と二人だけで、自分の老後を迎えることになると思います。
(息子はいずれケアホームか入所施設のお世話になるとしても…)
万が一脳梗塞や心臓発作で倒れたとしても、救急車を呼んだり近所に助けを求めたりしてくれる可能性ゼロ。少なくとも生活習慣病とは無縁な状態で年取らないとマズそうです。
もっとも、今は救急車を呼んでも受け入れを拒否されたりして、搬送してくれるとは限らないみたいですけどね。

posted by dashi at 23:52| Comment(4) | TrackBack(0) | 自閉症関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
dashiさん、こんにちは。ご友人のご主人は若くして亡くなられたのですね。さぞかしその後のことを心配されていただろうと思います。
イギリスでもつい最近、自閉症の子を持つお母さんが自殺した事件がありました。こちらでは「子供たちを診るときには家族も一緒に」と口すっぱく言われますが、確かにそんな気がします。

今は日本のニュースを見れば「搬送拒否」の文字が躍ってますね。私の祖父も30年ほど昔、心筋梗塞で倒れた後に搬送拒否に遭って亡くなりました。以前からこういうケースはあったものの、最近になってニュースになるようになったのでしょうか。

昔は私も「ひどいなぁ」とだけ思っていたのですが、自分が働くようになってからは「搬送拒否」という言葉は適切じゃないんじゃないかと思うようになりました。
重症患者さんを含めた30人の入院患者、重症患者さんの外部からの搬送、それに救急外来から緊急のお産まで・・・。それを一人で診るシステムでした。いつ事故を起こしてもおかしくない状況でしたし、呼吸器が足りずに一度だけ患者さんの受け入れを断ったこともありました。
ニュースでは、報道が一方通行で、病院がどんな状況で「搬送拒否」することになったのか報道されないのが残念です。

とはいえ、やっぱり自分や家族がが倒れて救急車に乗ったのに行き先が決まらない状況になったら、「なぜ?!」と思うでしょう。これを機会にたらい回しが減るシステムが整備されることを祈ります。悪いニュースばかりで解決策が出てこないのが一番ストレスですねぇ・・・。dashiさんはどんな解決策がいいと思いますか?
Posted by Kashin at 2008年02月10日 08:58
コメントありがとうございます。そうですね、私も受け入れを断ったら悪者扱いというマスコミの論調には不快な思いをしています。
いつでもどこでも、どんな患者でもハイハイと受け入れられる病院はないと思います。無責任に引き受けて手遅れになったらもっと大変だし。
飛び込み出産なんて、病院を責めるのは間違ってますよね。
病院だって経営はラクじゃないんだし、やってられないでしょう。今はお医者さんのボランティア精神、使命感におんぶに抱っこという面が強いと思います。
私としては、救急車搬送の電話があった時点で、該当するような病院を手配するセンターのようなものが必要ではないかと考えています。

私が先般初めて救急車のお世話になったとき、車に運んで聞き取りをしてから病院に当たっていました(1,2箇所で断られたようでした)。
救急車の到着前にそれをして、(救急車を向かわせながら並行して)搬送先の候補(患者の状態により選択)を決めておけばスムーズにいくと思います。
救急隊員と電話をする人は別な方が、時間的なロスが少ないんじゃないかと思います。一箇所に断られてから次に電話するのって、ロスが多いと思うのですが…。

それよりも、慢性医師不足の解消が先ですね。過労死するような労働環境をなんとかしないと。
法定の配置数は、少なすぎると個人的には思います。
Posted by dashi at 2008年02月10日 20:44
dashiさん、お返事ありがとうございます。
そうですね、新生児だとネットワークがあり、その日にどの病院で患者受け入れが可能かすぐわかるようになっています。

そうですね、飛び込み出産はあまり歓迎されません。赤ちゃんの大きさや週数がわからないし、先天異常があるかどうかもわからないし、妊婦さんの感染症の有無もわからないし、出産後に支払いをせず逃げてしまう人の率も高いからです。

妊婦検診は国の負担で一部無料なはずなので、それは最低限受けていただきたいものです。

出産は難しいとしても、私は救急隊員の方々が医師の電話指導の下にできる医療行為をもっと増やすことがいいのではないかと思います。病院を探しながらも目の前で刻一刻と状態が悪化する患者さんを何も出来ないまま見るのは隊員の方々もつらいのではないでしょうか。

私も燃え尽きてしまって海外に流れ着いたクチなので、今でも休日や夜になると、日本で頑張っていらっしゃるお医者さんたちを思い出します。
忙しい人ほど訴訟の危険が高く、医師免許を持ちながらも医療行為をせずテレビに出ている人のほうが安全に儲かる、どうしたらいいんでしょうねぇ・・・。
Posted by Kashin at 2008年02月11日 04:39
コメントありがとうございました。
そうでしたか、ホントに大変そうですよね、お医者さん。私の知る女医さんは、派遣会社に登録して短期間ずつパートで働いているようで(障害児がいるから学校優先)、そんな働き方があるのかと驚きましたが、これから増えるかもしれませんね。科によっては患者が迷惑しそうな気もしますが…。

救命士の出来る内容を増やすというのは私も賛成です。以前は救命措置も出来なかったのが法改正されたんでしたよね。看護師と同程度の育成をしたらどうでしょう。
個人的には、看護師と医師の中間的な役割の人がいてもいいように思います。看護師に許されている行為が少なすぎるような…。歯医者さん(歯科衛生士、技工士など)みたいに分業できたらいいのに、と。
Posted by dashi at 2008年02月12日 20:52
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