2007年12月03日

病児の保育

養護学校のスクールバスに熱のある子を連れて来て、
「きょうはどうしても仕事を休めないから、お願いします!」
と強引に乗せていった母親がいたそうです。子どもはもう中学生の年齢ですが、健常児と違って家に一人で置いておくことはできないのでしょう。
話していた人はその母親の無責任さに怒り心頭という感じ。聞いていた同じ学校の保護者も口々に
「その子がかわいそう」「熱があるんじゃ休ませなきゃねえ」「他の子にうつったら困るね」
とあきれてましたが、考えてみたら仕事をどうしても休めない、預かってくれるところもないという状況は、働くお母さんならありうる話です。

子どもはかわいそうだし学校に迷惑をかけるのは百も承知。
だけど学校になら保健の先生もいるし保健室で寝ていることもできる。
ここなら安心だからと甘えてしまうことは、いいこととは言わないけど、あまり非難できないかもしれないなあと思いました。その母親のことは知らないけど、もしかしたら生活のために働かなければならないのかもしれないし(夫が闘病中という人もいます)。
ウチの子が通っている養護学校にも、フルタイムで働くお母さんは何人もいます。
そういう人の子は、夏休みにも一人で留守番できるくらい軽い障害であることが多いですが、たまには一人に出来ないこともあるでしょう。仕事を休めないなら、見てくれる家族や親族が近くにいないと、件の母親のように周りに迷惑をかけて顰蹙を買うはめになりますね。

医師や歯科医、通訳など、そのスキルを身につけるためにそうとうの努力や投資をしたと思われるお母さんたちもいます。男性に伍して働き、それなりの収入や社会的評価を得て当然の人たちですが、子どもの障害のために仕事を辞めたり、ほんの少しだけ仕事に出たりしているようで、不本意だろうなあと気の毒になります。
働くお母さんにとって一番困るのが子どもの病気でしょうか。
自閉症のようにめったに病気をしない子が多い障害もありますが、体が弱くてよく学校を休むような子の場合は、ことに大きくなってからは(入院以外)預けられる機関はないと思います。

障害児の場合はともかくとして健常児の病児保育は、少子化対策の中でも、その効果が顕著に現われるものじゃないかと思います。
「ここがウチの近くにあれば、私は仕事を辞めなかった」「もう一人生めた」とため息をつくお母さんがきっといそうな場所が、新潟にあります。
わたぼうし病児保育室
http://www.kodomo-iin.com/byouji/byouji.html
小児科の医院に併設された、病気の子どものための保育室。朝は8時から夕方まで2,100円で預かってくれるそうです。
はしか以外なら大丈夫。いざというときはすぐ診察も受けられるし、保育士4人で見守ってくれます。定員は8人ですが、今まで断ったことは一度もないということでした。

公の施設は急性期の病児を受け入れず、病後児のみを受けるなど親のニーズに叶っていなかった。市民が本当に求めるものを、ということで始められた事業です。
毎年大幅な赤字が出ているそうですが、続けられるだけ続けたい。
「私の夢は、どこの小児科医院にも病児保育室が作られ、かかりつけの小児科で必要なときはいつでも病児保育を受けられるということです」
と語る、塚田院長の使命感に支えられています。誰か大口の寄付でもしてあげてほしいものです。

posted by dashi at 22:58| Comment(6) | TrackBack(0) | 社会問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Dashiさん、こんにちは。また興味深い話題、ありがとうございます。
うちでも病児保育を作るかどうかという話が出たことがあります。やはりネックになるのは採算と人手、そして相互感染ですね。水疱瘡の子が胃腸炎をもらっちゃったり、ただの風邪の子がインフルエンザをもらったり・・・。将来的には考えてみたい分野ではあります。

仕事は男女平等が進みつつあるけど、子育ては男女平等じゃないとなると、お母さんへの負担は昔より重いかもしれないですね。

国立以外の病院では、小児科入院は付き添いが必要なことが多いです。完全看護のはずなのに、お母さんに毎回お願いするのが心苦しかったです。

イギリスでは子供が居て片親無職だと、働かなくていいくらいのお金が毎月もらえたりするのですが、やっぱり働いているお母さんの苦労は日本と同じようです。

中国は共働きが多いですよね。Dashiさんがいらっしゃる間、中国ではどうでしたか?
Posted by Kashin at 2007年12月04日 01:53
短期入所やデイケアも預かってる間の発熱ならともかく最初から症状のある子供を預かるってことはないでしょうね。
私の周りにも仕事されている方はいますが、まだ小学部のせいかほとんどパートです。
看護士や医師の資格を持っていても障害児がいるとフルタイムで働ける状況ではないのだと思います。学校の送迎もありますから・・。
息子は「てんかん」があるので、発作が心配で少し体温が高くても休ませることもあります。
それでも養護学校は先生も保健室の先生もいるので何かあっても大丈夫だと安心してます。
なので、その預けたお母さんの気持ちもわかります。ただ、バス内は感染し易いようので、できれば直接送って行ってもらえれば・・と思いますが。
Posted by げげ at 2007年12月04日 17:48
よくぞ聞いて下さいました!
もうずいぶん昔の話だから今は事情が違うと思いますが、共働きが当然視されていた中国。子育ては国家事業という感じで、驚いたりあきれたりしたものです。

ウチで働いていたアーイーさんには、小学生の子どもがいました。朝ウチに出勤する途中で、油条という甘くないドーナツみたいなの(主食)を買ってきて食べていたことがあったので、子どもの朝ご飯はどうしたのかと聞きました。
すると、子どもは学校で朝昼2食食べると言うじゃありませんか!希望すれば夕食も食べさせてもらえるし、学校に泊まって週末だけ帰るという生活も出来るということでした。
ご存知のとおり中国は一人っ子政策で子どもは一人だけ。たった一人の子を育てるのに、そこまで面倒見てもらえるのかとびっくりしました。
(病児保育だって公で当然してくれたと思います。)

その後、アーイーさんが交代してもっと若い人がきました。まだ幼児の子どもがいる人でした。
その人は、子どもを託児所に預けずに、田舎から出てきているアーイーを住み込みで雇っていると言ってました。
あとで思うと、北京に住むには居留許可証が必要(ないと住むところも借りれない)だから、許可証のない人を格安で雇っていたのかもしれません。(田舎と都会の格差は今でもとても深刻です)
ウチ(外国人の家庭)の家事をして働き(全く、お粗末な働きぶりでした)、自分のところは育児も含め雇い人に任せていたわけです。ヘンな話だと思いましたが、珍しくはないようでした。

ほかの人の例からしても、「自分の手で」育てようと躍起になっている人はまずいませんでした。日本でも昔の農村なんかは、子守は年寄りの仕事で、そんな感じだったかもしれませんね。
中国が違うのは子どもは集団で育てられ、親も単位という職場ごとにある食堂でタダで食べられていた(らしい)ことでしょうか。今はそんなところもあまりないでしょうね。

一人っ子で、子育ての面倒なところはやってもらえるんだから、そりゃあ可愛がりますよね。
溺愛されて尊大な子どもが多い(小皇帝)…と言われたものですが、今はその世代が親の老後の面倒を見る気がない、自己中と問題になっているようです。
つい脱線しました^^。

病児保育、相互感染はやはり気になるところですね。私もそれがイヤで、よほどのことがないと子どもを病院に連れて行きませんでした。
預けるお母さんはそのリスクは覚悟の上なのか…。新潟だから部屋もゆったりととれるのかもしれませんね。

コメントありがとうございました。
Posted by dashi at 2007年12月04日 18:47
すみません、↑は >Kashinさま です。

>げげさま
コメントありがとうございました。

送迎や夏休みなどの長期休みがネックですよね。
ウチは学校が遠くて、スクールバスのポイントまでも車や電車で往復一時間弱かかります(道がすいてれば早いですが)。それが日に二回ですからね…。
卒業したらだいぶ近くになりそうなので、その点はちょっと期待しています。
Posted by dashi at 2007年12月04日 19:02
Dashiさん、中国のお話、ありがとうございます。さすが中国、いろんな意味で転換が早い。

周囲が一緒に子育てをしてくれる、日本も昔はそうだったかもしれないですね。
うちの近所に居るマレーシア人の方のお姉さんはアメリカ在住で、お子さんが自閉症なので心理士を住みこみで雇っていると聞いてびっくりしました。私の友達の日本人は、インドネシアで子供を産んで、未成年の姉妹を住みこみで雇っていたのでほとんど子育てのつらい事をしなくて良かったと言っていました。

こちらでは寮がある特殊学校に通う子は、タクシー代も無料で月曜日に学校へ行き、金曜日にまたタクシーで帰ってくる場合も多いです。医者も学校が連れて行くとか。

いろんな形があるものですね。

日本にも、施設に子供を連れて行くだけのサービスではなくて、家に来てくれたり送迎してくれたりという訪問型のサービスが増えると便利なんですが・・・。
Posted by Kashin at 2007年12月05日 01:03
ありがとうございます。

心理士を住み込みで! はー、羨ましい。
中国人のアーイーさんって、気が強くて困っている日本人も多かったですが、インドネシアの人はどうなんでしょうね。中国人ほど誇り高くなくてやりやすいかも^^。
人を雇うというのもわずらわしいことだから、自分でやって、困ったとき泣きつけるところがあるというのが一番気楽だと思います。
Posted by dashi at 2007年12月05日 19:42
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