2007年11月14日

事件の背景

凄惨!!中国「エイズ村」潜入ルポ、という記事を読みたくて「読売ウィークリー・11月25日号」を買いました。
組織的に血を買う仕組みを作り上げ、貧しい農民から安く買い取ってブローカーが大もうけしている。農民にとっては魅力的な現金収入ですから、毎日のように売血する者もいたそうです。
注射針を換えるどころか、使わない成分を体内に戻すときには、作業の効率を優先に複数人の血液を混ぜるということまでしていたそうです。
その結果、エイズが蔓延した村が中国各地に点在。ほとんどが内陸の極めて貧しい農村です。

これが大昔の話ではなくて、1993〜1996年ごろのことだそうですから、中国はまだそんな段階なのかと驚かされました。
売血が日常化していた村ではHIV感染者が多数。医療の手当てもなく、差別や偏見に苦しみながら死んでいく人も多いようです。また、輸血で感染した人が裁判を起こそうとしても受理されない場合が多いとか。
北京オリンピックを前にしてイメージアップに必死の中国政府としては、出してもらいたくない記事だろうなあと思いました。
3回にわたってルポするそうで、これが第1回。著者は学習院女子大准教授の阿古智子という方ですが、刺客が放たれないかと本気で心配です。

この雑誌に、他にもびっくりするような記事がありました。
獨協医大病院(栃木県壬生町)の初調査によれば、
「飛び込み出産」過半数が「産み逃げ」
なのだそうです。
かかりつけの病院で毎月の検診を受けずに、いきなり救急車などで初めて運び込まれた妊婦。どんな状態かわからない危険な出産をあえて引き受け、無事に終わってホッとしたら…。
獨協医大病院では、なんと55%の産婦は出産費用を踏み倒していたのだそうです! ひどい場合は子どもを残してトンズラ…。
この調査は獨協医大病院だけのことですが、最近の病院はどこも(公立は特に)治療費の未払いに悩まされているらしいですね。

こんな現状があるなら、飛び込み出産の受け入れを拒否する病院を責められるでしょうか。
「産まれそう」と救急車を呼んだが、受け入れる病院が見つからずたらい回しされた、などとニュースになったりしています。一方的に病院を責め、無責任だの人命軽視だのと批判する。
無責任と批判するなら、毎月の検診を受けずにいきなり飛び込み出産をしようとする妊婦、費用を踏み倒す産婦の方じゃないですか。
病院はボランティア団体じゃありません。運営には人件費にランニングコスト、減価償却費、莫大な経費がかかります。かかった費用も払わないで逃げる患者ばかりではたちまちつぶれてしまいます。
真面目に働く医療関係者のモチベーションをなくすような、無責任な感情的な批判は控えてほしいものです。

いったいまた、どうしてと唖然とした「全盲の男性公園に放置」事件もそうです。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2007/11/14/03.html
糖尿病で失明した全盲の男性を、退院させようと自宅に連れて行ったけれども家族(?)が引き取りを拒否。公園のベンチに座らせ(置き去りというのとは違うようです)、通報して保護してもらった、というニュースの内容から、まるで捨て猫みたいな扱いだと怒った人も多いと思います。
男性は悲劇の主人公。
病院はとんでもないことをとあきれられ、患者の人命軽視と批判にさらされました。

病院側は職員が勝手にやったように言っているようですが、普通に考えて、必要がなければそんなことをするわけがない。職員だってほとほと困っての強硬手段だったに違いありません。
「もうゼッタイ連れて戻ってくるな」と(無言かもしれないけど)強い圧力があったからこその行動。ほかの病院に搬送して、ババを引き取ってもらいたい。そんな一心だったと思います。

この男性は7年前から入院し、糖尿病が進んで失明しました。
ほかの入院患者や看護師とトラブルが絶えず、6人部屋を一人で占領していた。大声でどなられるなど、この人が原因で辞めた職員もいたそうです。
入院が長引いたので医療費が自己負担になり、それを何年分も払っていなかった。185万円の未払いがあるそうです。
再三退院を勧め、障害者用の施設に移るよう諭しても聞いてくれなかった。
費用は「怖くて」督促しにくく、その担当者は困っていたのでしょう。だからほかの病院におしつけようと、後先考えない幼稚な行動に走ってしまいました。

そういう患者を、病院任せにしていること自体に問題があるんじゃないでしょうか。
長引くと医療費の自己負担分が増す、症状が固定した患者は追い出さないと病院の減収になる、そういうシステム自体が間違っているんじゃないでしょうか。
病院や、追い詰められた職員を批判するばかりじゃなくて、そういう行動に走るに至った事情もちゃんと報道して、再発を防いでほしいと思います。


posted by dashi at 23:07| Comment(3) | TrackBack(0) | 社会問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あ、こっちにも一言。
>家族?
元「内縁」の奥さんで、引取りの意思確認せずに連れて行って、断られ、困った挙句、「日雇い労働者」の街の近くの公園において、救急車に連絡[匿名で]して、他の病院に引き取ってもらったそうです。
身よりなき病人の診療費の不払いで、経営が困難になっている病院、官民とも多いみたいで、
今後高齢化が進むともっと「棄民」されていくでしょうね。大阪市なんかも最低限度生活保護引き上げを国に要請してますが、北九州の事件の如く、切り詰め圧力かで、根本的解決は難しいようです。
Posted by 三介 at 2007年11月17日 20:27
何度もどうも、です。
詳しい記事janjanにありましたので、ご報告だけ。
http://www.news.janjan.jp/living/0711/0711175771/1.php
Posted by 三介 at 2007年11月18日 23:14
ありがとうございます!
教えていただいた記事、全く同感です。
ここに指摘されたような、意味のある掘り下げのない、発表されたままの記事を書く記者が最近は多いなあと思いますねえ。昔ほどいい意味での選民意識のない、サラリーマン記者が増えたのかしら。みんなきれいな靴をはいているとか^^。
Posted by dashi at 2007年11月18日 23:54
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