2007年09月12日

自閉症者の辛さ

きのうちょっとした集まりの席で、アスペルガーの判定を受けている人が、こんな話をしていました。
(アスペルガーの定義はいろいろあるようですが、ここでは「知的障害を伴わない、広い意味での自閉症」といった意味合いでご理解ください)
その人が前の日に出席した会合は最悪だった。
一つの部屋で、集まった人たちが3つのグループに分かれて、それぞれで話し合いをしたそうです。
それほど狭くもない部屋で、ギャーギャーわめき散らすようなこともないなごやかな話し合い。
でも彼女には、ざわざわと別の話をしているのが四方から聞こえてとても疲れ、耐え難い苦痛だったそうです。

「だって、自分のところで話していたら、別のグループの話なんか聞こえないでしょう」
と誰かが言ったら、「聞こえないんですか!?」と驚いていました。
自閉症の子が騒がしいところが苦手だったり、子どもの泣き声に過剰に反応したりするのは、こういうことなんだろうなあと考えさせられました。
補聴器を初めてつけたときには、うるさくて我慢できないという話を聞きます。自分にとって不要な雑音も全部拾ってしまうからですね。
私たちの脳は、自分に関係ない雑音をシャットアウトして聞かない、という高度なふるい分けを無意識のうちにやっています。だからかなりうるさいところでも隣の人と会話が出来るし、雑踏の中で自分の名を呼ぶ声に気がついたりします。
アスペルガー(自閉症)の人は、このふるい分けの能力が低いのかもしれません。あまり高性能でない補聴器のように、周りの音を取捨選択しないですべて拾ってしまうのかも。

それと、嗅覚と同じように、うるさい場所でも少し時間がたつと慣れて平気になりますが、自閉症者にはこういうファジーさが欠けているのかもしれないと思います。
良く言えば潔癖できちんとしているのが好き。許容範囲が狭い、と言えるでしょうか。
「まあいいか、これくらい」といういい加減さは我慢できないかもしれません。
会話の出来る子ならそれを言葉にして伝えることも可能だけれど、生まれたときからそうならば人は自分と感覚が違うということが理解できないでしょう。
言葉のない子ならその場を逃げ出したり、泣きわめいたり暴れたりするかもしれません。いずれにしても、なかなか人にはわかってもらえない辛い立場だなあと思いました。

アスペの彼女の話が一段落したとき、彼女の斜め前にいた人が、
「そうそう、あなたはこれが苦手なんだったね」
と言いながら飲みかけのペットボトル(小さい、背の低いサイズ)の、下に置きっぱなしだったふたを締めました。
聞けば、アスペの彼女はペットボトルの口が開いたままになっているのがどうにも気になって落ち着かないそうです。
彼女は笑いながらジェスチャーつきで、
「締めようと思って立ち上がろうとすると(取上げて)飲むから、すわって、また締めようとしたら飲み始める、の繰り返しだった」
と話していました。やっと締めてくれたからとても嬉しそうでした。

私自身、粗忽者でよくものを倒す方なので、ペットボトルを机に置くときは必ずいちいち口を締めることにしています。大事な書類のそばにコーヒーカップがあったりするのは我慢できない方。だから彼女の気持ちはよくわかります。でも、人のペットボトルのふたまで締めようとする人は、あまりいないかもと思ったことでした。
アスペルガーの人の中には知能が天才的に高い人も少なくありません(アインシュタインやビル・ゲイツもそうだと言われています)。
私の知っている人もみな、「勉強は出来た、成績は良かった」そうです。だから一般の優秀な学校に進んで、「変わり者」のレッテルを貼られて仲間はずれやいじめの対象になる。こういう人は殊に苦しい思いをするのではないでしょうか。

知り合って間もない別のアスペの女性と二人きりで話しこんでいたとき、
「私には友だちがいないんです。友だちはいらないんです」
と言うので言葉に詰まったことがありました。でもその後彼女も、光が三角に尖って見えるなど独特の感性を解りあえる同じようなタイプの人に巡り会って、仲良くしているようです。
その彼女は息子が自閉症と診断される過程の中で自分の障害にも気がついたそうです。息子の、傍目には奇異に見える行動が、なぜそんなことをするのかよくわかって共感する(時には一緒にやる)ということでした。
彼女にはもう久しく会ってないけど、辛い思いからは解放されて、息子や「友だち」とともに心地よい日々を過ごしていることを願っています。
posted by dashi at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 自閉症関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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