きょうの朝日新聞朝刊(科学面)に、なつかしい人が載っていました。
ニール・アームストロング氏、76歳。
人類史上初めて月面に降り立った、アポロ11号の船長として記憶に刻まれている人です。
彼がゴーストつきの白黒画面を通して月面から発信した、
"That's one small step for a man, one giant leap for mankind."
「これは一人にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大なる飛躍だ」
の名セリフ(訳は数種類あったようでした)には、子どもだった私も酔いました。
今月初めに、この中継で一躍有名になった、同時通訳者の西山千さんが亡くなりました。95歳で老衰のため、ということですから大往生ですね。当時の記憶のある私としては、容赦なく過ぎ去る時の流れに感慨を覚えます。
独特の抑揚で「こちらヒューストン」と流れる声、とにかくカッコよかったです。同時通訳を志して英語の勉強に熱を入れた若者も少なくなかったでしょう。
「あの、英語を即座に翻訳する機械をウチも買いたい」という問い合わせがNHKに殺到したから、始めは声だけだった西山さんが(機械じゃない証拠に)画面に登場するようになったそうです。
当時はアポロ11号のコンピューター性能も(最先端のはずですが)ファミコン以下だったそうで、送られてくる音声も何秒かタイムラグがあって、雑音もひどいものでした。通訳もご苦労が多かったことと思います。
アームストロング氏は現在76歳だから、西山千さんよりずいぶん(20近く)若かったのですね。1930年生まれで偉業を成し遂げたのは1969年、当時39歳という計算になります。
ベトナム戦争時には海軍の戦闘パイロットを務めた経歴もあリ、その後大学に戻って航空工学を研究。NASAの宇宙飛行士に選ばれてからジェミニ、アポロ両計画に参加していたそうです。昨年だったか回想録の出版があったんじゃないかと思います。
引退後は故郷のオハイオ州で農業を営んでいるそうで、人前に出るのは稀らしいです。今回は7月10日にイスラエルのハイファの宇宙技術博物館を訪れ、子どもたちに、
「月に生命は存在しなかった。空き缶かなにかみつからないかと期待していたが何もなかった」
と話したそうです。さすがにアメリカ人、さりげないユーモアがありますね。
月旅行の価値について「人類はいつまでも地球にしがみついているわけではない。宇宙に広がることを期待している」、
「再び月に行く機会があったら行きたいか」との質問には「もちろん」。
記者(AP通信)と話すのは拒んでイスラエルを去ったそうですが、そこの子どもたちは、自分たちがどんな贅沢な時間を持ったかピンとこないでしょうねえ。
ところで歴史的な「月への第一歩」をアームストロング氏(船長)に譲ったオルドリン飛行士(月着陸船のパイロット)は、二番手になったことで敗北感にさいなまされ、帰還後、鬱になったということです。
月着陸船の構造上からも、その順番は仕方のないことだったようですが、オルドリン飛行士はよほど功名心の強い人なのでしょうか。
2002年に、「月着陸は捏造だ」と主張する映画監督バート・シブレルに、ホテルで待ち伏せされ壁に押し付けられて、詐欺師呼ばわりされました。このとき72歳ですが、華麗なパンチを一発お見舞いしたそう(シブレル事件)で、やはり宇宙飛行士に選ばれるような人は強靭な肉体と精神の持ち主のようです。
それにしても、「月着陸はでっちあげだ」という異端説(?)は今も根強くあるようですね。実際に月面を歩いた生き証人が二人も健在なのに、ずいぶん失礼なことを言うものだと思います。
当時テレビに釘付けになった者としては、捏造のわけがないと笑って言いたいところですが、もう「生まれる前の話」である世代が大半なのでしょうか。ネット世界では情報操作もしやすい印象を受けますが、世のいい子は変な扇動に乗らないで冷静に歴史を見てほしいと思います。
ところで、月面に21時間半滞在した後二人は、レーダー反射板(今現在も使用中だそうです)やアメリカの国旗など記念品をいくつか残してきました。その中に当時のニクソン大統領のサイン入り銘板もあり、こんな文句が刻まれているそうです。
Here Men From Planet Earth
First Set Foot Upon the Moon
July 1969 A.D.
We Came in Peace For All Mankind.
地球から来た人間、ここに月面初の足跡を記す
西暦1969年7月
全ての人類を代表し、平和のうちに来たれり
全ての人類を代表したと言っても、実はそんなことがあったとは知らない人々が当時にもいたのは確かだと思います。
1980年代にモロッコで行なわれた調査では、多くの人々が月着陸のことを「聞いたことがない」と答えたそうです。
余談ながらそれを聞いて思い出すのは…。私たちが北京に住んでいたころに「ソ連崩壊」という大ニュースがありました。でも当時私が購読していた新聞・北京晩報では、国際欄もありましたが、全く無視されていたのです。ほかの(国内の)メディアも似たようなものだったらしく、声をかけた中国人は(インテリもいたと思いますが)誰も知りませんでした。
情報がほしくて、日系のホテルまで足を伸ばして日本の新聞や雑誌を読み漁ったものです。
今はネットもあるし、こんな情報の封じ込めは出来ないと思います。似たようなことをやってる国はほかにもありそうですけどね。
2007年07月23日
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