真夏の日差しの中、横浜山手の外人墓地見学に行ってきました。
息子の学校で「聖書を読む会」が月一度開かれていて、私はメンバーではないのですが、その会の企画にありがたく参加させていただいたものです。息子が入学して14年目になりますが、このような企画は初めて。卒業前にやってもらってよかったと思いました。
港の見える丘公園の中を通って墓地に向かったら、ローズガーデンではバラを撮影している人など観光客の姿もたくさん見かけました。(帰りにまた通ったらエレクトーンの演奏もありました)外人墓地は横浜を代表する観光スポットの中にあります。
現在の港の見える丘公園は、ベイブリッジが視界を横切りマンションが建ち並び、高速道路が立体的に走って、まるで未来都市のような眺めです。
今の外人墓地から海は見えません。でも昔は海岸線もこの近くだったようで、初めて葬られたアメリカ人水夫(二度目のペリー来航の時マストから落ちて亡くなった)のために「海が見えるところ」という条件を満たす場所だったそうです。
外人墓地は静寂に包まれていました。森という感じにたくさんの樹木が生い茂り、墓地の中はほとんど日陰で涼しかったです。本物の夏なら蝉時雨がうるさかったかもしれません。
会を指導していらっしゃる先生(牧師)のつてで、ふだん立ち入ることの出来ない地域まで見学することが出来ました。
上から覗く分にはわかりませんが、墓地は谷の底の方まで広がっていて、案外広い。5,600坪(約18,500u)もあるそうです。
ここには、日本の近代化に尽力した外国人が多く眠っています。
聖書の翻訳をした人など聖職者やその家族。
関東学院、フェリス、明治学院の創始やボーイスカウトなど後進指導の基礎を築いた人たち。
初めて鉄道を引くために無理を重ねて命を縮めた鉄道技師、キリンビールの前身となるビール製造所を作った人、ロシア革命から逃れて亡命したバレリーナ。薬学者。音楽家。
風刺画つきの記事を母国の新聞に送り続けたポンチ絵師ワーグマン。
生麦事件、井土ヶ谷事件などで攘夷派の犠牲になった人の記念碑もあります。
ユダヤ人はダビデの星を刻んだ墓石で、フリーメイソンはそのマークを刻んでありました。
外国人と言ってもおそらく一番多いであろう中国人の墓地はよそにあるそうですが、二箇所ばかり中国人らしい名前の墓碑も見かけました。
1923年に亡くなった人の名がずらーっと刻まれた墓碑がありました。1923年9月1日。関東大震災です。
関東大震災では10万5千人もの人が亡くなったそうですから、横浜近辺の外国人にも物故者が多かったでしょうね。
このときは高くて平べったい墓石はほとんど倒れて割れたようです。割れたのを補修してある墓石も目立ちました。
復旧には韓国人のみなさんがとても尽力して下さったそうです。
ここの近くにある山下公園は、震災時の瓦礫を埋め立てて作られたそうですから、震災で全壊した建物も多かったのでしょう。墓石が倒れるのは当然だったかもしれませんね。
ここは市や国の管理下にはなく財団法人「横浜外国人墓地」が管理しています。
(http://www.yfgc-japan.com/index.html)
広大な墓地の維持・管理には少なくない経費がかかりますが、一方、時の流れとともに後継者が途絶え、ここに葬られたまま忘れられる墓も多い。現在は無縁墓地が増えて収入(墓地使用権料)も限られたものとなり、3〜12月週末と祝日に墓地公開するときの募金や寄付金が主な収入源となっているそうです。
資金が潤沢にあれば古くなってくすんだりカビの出た大理石など(もとは輸入材を使った立派なものだったと思われます)の墓碑を磨いたり、説明板を作ったり、花を植えたり草むしりや掃除も出来るのでしょうが、汚れていたり雑草に埋もれたお墓もあったりしてなんだか気の毒でした。
今は教会の無料奉仕のボランティア頼り、とにかくカネがなくて手が回らないというのが実情のようです。
2002年7月には「外国人墓地支援チャリティーコンサート」を開いて、小澤征爾氏指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団ほかが協力。寄付金で墓地の斜面に石積みの壁が作られたそうで、感謝のプレートがはめ込まれていました。
こういう支援の手がもっと広がればいいなと思ったことでした。
横浜出身のアーチストはたくさんいるので、呼びかけようによってはかなりのことが出来るんじゃないでしょうか。
NHKあたりでキャンペーンやってくれれば効果絶大でしょうけどね。国際交流、先人の貢献という意味からも、もっと注目し整備してほしいところだと思いました。
2007年05月09日
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