2007年04月08日

「死を食べる」

図書館で衝撃的な絵本を見つけました。
「アニマルアイズ 動物の目で環境を見る」というシリーズのようで、その2、「死を食べる」。偕成社から2002年の3月に出版されています。
http://www.owlet.net/03-hon/siwotaberu/
<自然界の報道写真家>宮崎学さんの、写真がメインの子供向け絵本です。
なんだかギョッとする書名ですが、タイトルどおり「死を食べている」動物たちの姿がなにしろ写真ですから歴然と示され、食物連鎖のありのままが強く印象に残ります。

車にはねられたばかりらしいキタキツネの死骸が道路にころがっています。
著者の宮崎学さんはその死体を観察し、「キツネの血を吸って生きていた」ダニがぞろぞろと這い出してくるのを見ます。
死んだらすぐバクテリアが繁殖して腐敗が始まりますから、ダニも逃げ出すのでしょう。
私は、「そうか、野生のキタキツネにはダニがいっぱいいるんだ。やっぱり野生動物には接触してはいけないな、餌付けなんてもってのほかだ。感染病も持ってるだろうし」とのんきなことを考えました。そして何気なくページをめくると、うっと息を呑む写真が始まったのでした。
死骸を近くの土手に運び、ロボットカメラをセットして一時間ごとに写真を撮ったのだそうです。

ダニと入れ替わりにやって来たのはハエ。目や口元の柔らかい部分に卵を産み付けます。
スズメバチもやって来ました、死肉を食べるのだそうです。
腐敗ガスの影響か2週間後には死体がふくらみ、そのあと孵化したウジ(キンバエ、ニクバエ)が毛皮を食い破ってあふれ出す。この写真は圧巻です。
そして今度は、ウジを食べるためにハクビシンがやって来たそうです。
この写真の脇にある文章に、こんな一節があります。
「キツネにわいた無数のウジが、すべてハエになったら、あたりはハエだらけになってしまう。けれども、そんな心配はない。こうして、ハクビシンのような動物たちが、たくさんのウジを食べることで、ちょうどいい数にへらしてくれるのだ」。
誰が造ったものか、自然界は実によく出来ていますね。

きれいごとだけではない「死を食べる」という現実は、野生の動物だけでなく人間も同じです。
今回息子と出かけた先で、夕食に豪華な刺身の大皿が出ました。赤い魚(鯛の一種でしょうか)の頭と尾は舟型に固定してあり、大きな目玉が空をにらんでいます。
私はカマとか目玉の周囲やほおの部分を美味しいと思うので、刺身より頭の煮付けが食べたいなあなんて思ってしまいました。考えてみるとすごい残酷な発想ですね。死んだ魚がぎろっとにらみつけているようだ、と怯えてもおかしくないシチュエーションなのに。
分厚いステーキを切ったり、網で肉を焼いているとき、牛や豚の死体を切り刻んで食べていることを意識する人はいないでしょう。
でも、実はそうなんですよね。

私たちが他の動物の死体を食べて生きているのは(ベジタリアンでない限り)揺るぎのない事実。ホントは目をそむけるべきでないことなのに、特に子どもたちにとっては「食べるための死」をありのままに見る機会はほとんどないと思います。
この本を読んだら、ショックを受けて眠れなかったり、夜泣きする子が出るかもしれませんが、それもいい教育ではないでしょうか。「死」の重さを思い、いのちの大切さに気がついてくれれば、簡単に「死ね」と罵ったり、人や自分を殺したりしなくなるでしょう。
死んでモデルとなった動物たちも浮かばれるというものです。
また、ベジタリアンだって動物が植物になるだけで、他者のいのちをいただいていることに変わりはありません。
食べ物を粗末にすることがいかに不遜なことか、考えるきっかけになるかもしれませんね。
この本を読んで家族や教室で話し合うことが出来たら、何よりの教材になるのではないかと思います。
posted by dashi at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 趣味 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
生き物を食べる

確か中学生の頃だったと思います。
川での釣りが好きな私にとって、
ヤマメは特別な魚でした。
でも、釣り上げた事はありません。

自転車で1時間半程の渓流に釣りに行き、
やっと初めての中型ヤマメを手にした時、
持ち帰って食べる事にしました。
つまり殺さなければ…
釣りの本で〆方を知っていたので、
ナイフで鰓の内側の急所を切り、即死させました。
腹ワタを出し、鰓を取りました(ちょっとグロかった)。
軽く塩を振って笹に包みました。
手が震えていました。

家に帰ってその決して大きくないヤマメを、
塩焼にして家族3人で分けて食べました。
とてもおいしくて、いまだに良く覚えています。
この経験で、他の(市販の)肉や魚も
同様に誰かが〆ているんだ!と納得できました。
同時に刃物の便利さと恐ろしさも体験できたと思います。
それ以来、その年に初めて釣ったイワナ・ヤマメは、
持ち帰って食べる事にしています。
(あとは逃します。リリースするといいます)

振り返ってみると、貴重な体験だったのかもしれません。
Posted by non-key at 2007年04月08日 09:53
はい、貴重な体験だと思います。
とれとれの魚は美味しいでしょうね。
昔、友人が学校に行っている留守中に、可愛がっていたニワトリ(庭で放し飼い)を親が〆て、友人が泣いて抗議したら「じゃあお前は食べるな!」と叱られたって話をしてましたが(泣きながら食べたそうです)。。。今の子はそんな経験をすることもないでしょうね。
アグネス・チャンの親戚が来日したとき、公園のハトを「うまそう」という目で見ていたそうです。日本人はアレが食材になるって気がついてない感じですよね。
いいとこ取りの豊かさって、いいんだかどうだか。

コメントありがとうございました。

Posted by dashi at 2007年04月08日 18:15
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