日経サイエンス2月号「特集:ミラーニューロンと自閉症」の中にこんな話があって興味深く読みました。
「ブーバ/キキ効果」というものですが、心理学者のケーラーという人が60年以上も前に発見した法則なので、一部の人にとっては常識かもしれません。
2つの図形があります。片方は丸みを帯びた曲線で囲まれ、もう一方は鋭く尖ったギザギザの線で囲まれた図形です。
これを見てもらい、「この2つはブーバとキキというが、どちらがブーバか」と訊ねます。すると回答者の母国語に関係なく、98%の人が<曲線で囲まれた図形>をブーバ、<ギザギザの線で囲まれた図形>をキキと答えるそうです。
ヒトの脳には、形や音から抽象的特徴を抽出する能力があるらしい。
トゲトゲの形とキキという鋭い音(口を横に引っぱり喉を閉じてやっと出せる音)に共通して認識できるものがあるのだろうと推察されます。
そして、自閉症の子どもで実験したところ、98%の人がするように即座にギザギザ=キキと決定できなかったそうです。
脳の中の、視覚と聴覚(そして触覚)の中枢の交差するところにある角回という領域、ここではミラーニューロンに似た性質が確認されてもいるそうです。
脳のこの領域に損傷を持つ人(自閉症ではない)を対象に研究すると、ブーバ/キキのテストに失敗し、自閉症者と同じように隠喩(手を貸して、の意味するところが判らないなど)が通じにくい傾向が見られたということです。
やはり、今の科学はかなり自閉症の原因に迫っているような印象を受けました。
ところでこれは日経サイエンスとは離れますが、知り合いの自閉症者(アスペルガー)の人が「音に色がついている」と言うのを聞いたことがあります。
苦手な音だと、聴覚ばかりでなく視覚的にも猛烈な刺激となって苦しいそうです。
一人だけなら個性とも思えますが、その場にもう一人アスペの人がいて、「そうだよね〜」と深く共感していました。本人たちにとっては当たり前の情景のようでした。
ブーバ/キキの実験では98%の人は視覚と聴覚がクロスして普遍的(絶対的多数派)なものを認識するわけですが、自閉症の人はクロスの具合(角回の機能?)が他の人と違うのかもしれませんね。
もちろん、情緒的なものは人それぞれですから、音に色がついて(形が見えて)聞こえる人イコール自閉症と言っているつもりはありませんよ。そういう人、芸術家にはけっこういるようです。あまり珍しくないのかもしれません。
一つの物理的刺激が別の感覚を誘発するのが共感覚(Synesthesia)。
音を聞くと色が見えたり、味から物の形が感じられるようなことを指します。そして、こういう人は2000人に1人の割で遺伝的に存在し、女性が男性の6倍ということです。
また色聴(Colored-Hearing)は音を聴くと色が見えるもので、ナボコフ、コルサコフの二人の作曲家がそうだということです。なお、この色彩は個人の中では決まっていますが、他人との共通性が見られないそうです。なかなか面白いですね。
ブーば系の方がやっぱり人気があるんでしょうね。
今映画化されている手塚治虫さんの『どろろ』
なんていうのも、こっちですね。泥棒がナマってどろろって知っています?
どう考えても主役は百鬼丸なんですけど、あえて、
どろろにした辺り、しかも女性を男装させている辺りに、
『味』がありますね。結構おどろおどろしい話で、
絵も怖いのですが、『もののけ姫』等を先取りしていた・・。
作品自体は尻切れトンボで終わっていますが、
テーマは凄く多彩です。そういう意味では、
アニメや特撮物のレベルの高さは、もっと評価されてしかるべきだったんでしょうね。
どろろについて熱く語ったのに(笑)残念。
ブーバと聞いて私は手塚治虫のふきだしの形を連想します、手塚マンガのふきだしは丸っこくて親しみやすい形です。キキ状のふきだしって悲鳴に使いますよね。
手塚マンガは映像化しないでほしい、実写は尚更。カネにはなるんだろうけどね〜。
コメントありがとうございました。