2006年11月22日

脚本を書く人

きのうの続きです。
京急脚本大賞は、京急沿線を舞台にするというしばりがある以外は全く来るもの拒まずのようです。
昨日おしゃべりした一人は規定の枚数に全然足りなかったけど、時間がなかったからそのまま出した、と言ってました。門前払いにならず招待もしてもらえたのは、京急のお客様だからでしょうか。
その時期になると京浜急行の駅や電車の中に大きなポスターが貼られますが、これほど広く一般から公募するシナリオは他にはないんじゃないでしょうか。だいたい、映画関係の雑誌や専門学校、その業界の中で公募することが大半だと思います。

だからかどうか、応募した人の中にはズブのシロウトも少なからずいたようで(私もそうですが)、私が声をかけて聞いた人の中で、ちゃんと学校に通って習ってる(習った)という人はほとんどいませんでした。
入賞したうちの青年の一人も、聞いたら、独学で本や雑誌を買って勉強したと言っていました。
もっとも、それとわかるシナリオ学校の生徒さんも大勢いたので、それ以外の人の話です。
また受賞して挨拶した人の中に「シナリオの書き方がわからないから2ちゃんねるで聞いた。ちゃんとした答えがなかったから薄い本を買って研究した」と言っている人もいましたが、これはかなり脚色が入っているんじゃないかと思いました。

公募シナリオの中では、ひときわ敷居が低いところと言えそうですね。
審査委員長の脚本家先生も、自分の名を冠した賞を手渡す席で受賞者に(応募先が)「京急脚本大賞でよかったね」とシニカルでした。
ただ、前回の初めての公募の際はもっとひどかったようで、このシビアな先生が「こんなレベルの低いのは初めて。シナリオをなめてる」と憤慨したように挨拶されていた記憶があります。そのとき私は隣の知り合ったばかりの女性と「レベルを下げたのは私」「私も」なんて苦笑したものでした。

今回は大賞(映画化の対象。賞金300万円)は前回に続いて該当作なし。最優秀賞の賞金が倍額の100万円に変更になっていました。
シナリオで100万円も稼げるのはとてもすごいことらしくて(小説と比べ賞金・稿料が安いみたいですね)、件の先生が「次回は審査委員を降りて自分が応募したい」と、本音っぽい講評をされていました。
賞金と言えば、審査委員の一人阿木燿子さんが、紫綬褒章を受けたことを祝福されて「褒章をもらっても一円ももらえないから、こっちの方がいいかも」といったジョークを、あのゆったりとした上品な口調で話されていました。

会場には学生服を着た高校生らしき若者もいましたが、案外、中高年の姿も目立ちました。
会場で話をした人は定年退職した64歳だかで、ノミネートされた20代からせいぜい40代の人たちが並んだ壇上を見上げながら、「こういうのを書く人って、人生経験は必要ないんですかね。みんな頭の中の空想だけで脚本を書いてるとしか思えない。そんなんでいいものが書けるのかな」と首をひねっていました。
60代から見たら、みんなクチバシの黄色いヒヨッコかもしれませんね。でも老人が自分が重ねた人生経験をもとに力を入れて書いたものは、説教臭い作品になるように思いますが、どうでしょうか。

鉛筆と紙さえあれば(またはPCがあれば)書けるものですから、カネも体力も要らないし時間も場所も選ばない。シナリオは絵手紙同様、老若男女を問わず長く楽しめる趣味かも知れません。
しかも、ひょっとしたら自分の脚本で映画が出来るかもしれないんですから、夢がありますね。宝くじが当たるの待つより楽しいと思います。
映画作りに命をかけて、生涯の仕事として脚本を書いている人たちから見たら、趣味で書いている人たちはテリトリーを引っ掻き回す目障りな、腹立たしい存在でしょうけどね。
阿木燿子さんが最後にきっぱりと、「仕事は、覚悟です。みなさん覚悟を決めてこの仕事に打ち込んで下さい」といったようなことを話されてて印象的でした。

受賞作品集とお菓子の箱とパスネットの入った紙袋をおみやげにもらって帰途につきました。
ゆりかもめの駅で同じ袋を下げた中年の男性に「せっかく来たのでお話しをしたいんですが、かまいませんか」と声をかけたら「もちろんですとも」とありがたいお言葉。
たちまち盛り上がって、一緒に電車に乗って話しこんでいたら「私もお仲間に」と若い女性が男性の横に座りました。
シナリオを学んでいるわけではないけど、舞台女優をしている人でした。演技の勉強のために書いてみたそうで、知り合いの脚本家に見てもらったりはしているようです。取材で漁船に乗って地元の人と話せたのが、とっても楽しかったと目を輝かせていました。

同じ袋が同好の士の目印、脇の座席の男性も会話に入って来ました。こちらは私同様前回も応募した人で、前はああだったこうだったと思い返しました。
途中でもう一人加わって、あれこれお話し出来て刺激を受け、とても楽しいひとときでした。書いたご褒美をもらった気分になりました。
名前も聞かずに別れた人たちと、また再会出来たらなと思っています。

posted by dashi at 23:42| Comment(3) | TrackBack(0) | 身辺雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして! ずいぶん前のことを今さら・・・なんて思われるかもしれませんが、僕も今回の脚本大賞(第2回)に行きました。
実は、僕はこのとき学校帰りだったので、制服のまま行っていました。(今は高校3年です)
おそらく、このブログにある学生服を着た若者とは僕のことかもしれませんね。
Posted by しんじ at 2007年01月30日 14:17
あら! もしかしてあの日そばにいた高校生? 学生服は一人しか見かけなかったからきっとそうだわ(笑)。
私の知る範囲だけでも高3から64歳までいたわけですね。間口が広い。
前途洋洋、人生これからですね(うらやまし〜)。頑張ってください。定型どおりに書かないといけないらしいから、シナリオの書き方をちゃんと習ったほうが(学校で専攻するのはもちろんベストだけど)入賞に近づくかもですね。

書き込んでくれてありがとう、とても嬉しいです。
Posted by dashi at 2007年01月30日 16:53
たびたび、書き込みをしてスミマセン!
前日のページを先ほど見させていただいたのですが、なにやら世の中狭いようで僕は三崎出身と意外と近く・・・でもないか(笑)にお住まいなんですね。  PSもし第三回の時にご縁があればお声をかけてください。 (まだ三回目があるか分かりませんが)
Posted by しんじ at 2007年01月31日 16:14
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