2010年03月16日

コンフォートゾーン

「テレビは見てはいけない」という刺激的なタイトルの本を読みました。副題は「脱・奴隷の生き方」。
一時大ベストセラーになった「買ってはいけない」の類かと著者を見たら、名前に聞き覚えがある(珍しい姓ですしね)苫米地(とまべち)英人さんでした。
ぱらっと立ち読みしたらなかなか面白い。タイトルは眉唾っぽいけど中身は真面目そうなので有益と判断、買うことにしました。
(売れることを狙ってつけたタイトルだと思いますが、狙いは当たったようで、昨年9月に初版のあと二ヶ月足らずで4刷が出ています。私が買ったのはこれ)
PHP新書で700円。見つけたのがコンビニだったので、食パンやチロルチョコと一緒に袋に入れてもらいました。

著書略歴には「脳機能学者、認知心理学者、分析哲学者」ほかの肩書きがあります。さすがに理論的裏づけのある文章は説得力があり、平易な文体で書かれていることもあって面白く一気に読めました。
その中にハハアと膝を打ちたくなるようなことがいくつもありましたが、一番私の印象に残ったのは「コンフォートゾーン」の話です。
例えば、人間が心地よいと感じる気温は大体25度なので、エアコンのサーモスタットは前後2度くらいの幅を持たせて23〜27度に設計してある。この幅のように、心地よく感じる領域のことをコンフォートゾーンと呼ぶそうです。
(中学校の英語で、カンフォタブルcomfortable=気持ちいい、というのはわりと早く習いますね。その原型のcomfortは習った記憶がありませんが…)
私たちには、暑かったら汗をかいて気化熱で体温を下げる、寒かったらガタガタ震えて熱を生み出そうとするように、本能的にコンフォートゾーンを守ろうとする働きがあります。
そして、人間は脳が進化しているから、外部刺激だけでなく脳の中の仮想空間でもコンフォートゾーンを求めようとする。そこから外れると非常に居心地が悪い。動物的になって、自己防衛的になるか必要以上に攻撃的になり、IQも下がる(バカになる)そうです。

なぜそうなるかというと、コンフォートゾーンから外れると交感神経優位の緊張状態にあり(ストレス状態)、ゾーンに入っているとリラックスして副交感神経が優位の状態にある。前者は脳幹が優位の状態(動物に近い)、後者は前頭全野 (論理的思考、社会的行動を担う) が優位の状態になる、からだそうです。
コンフォートゾーン(縄張りのようなもの、と説明されてもいます)内にいると安心していられるわけですが、それでは他人に与えられた目標の奴隷になる危険もある。コンフォートゾーンを上手に上にずらすのも成功の秘訣です。(何が成功かという問題はありますが…)

人によってこのコンフォートゾーンの幅は大きく異なります。
快適に感じたり、ここまでは許せるという範囲は、人によって全然違いますよね。もちろん人によって一定なのではなく、年齢や置かれた環境によってかなりずれてくるものであることは私も実感します。
私の近所に、80代後半で一人暮らしの女性がいます。重いものは持てないらしく八百屋さんで配達を頼んでますが、いつもお洒落でお化粧も欠かさずきちんとしてます。この人と20年来の交流がある友人の話では、昔からちっとも変わらない。友人の身なりをたしなめることもあるそうです。「えらいよね〜」。
おそらくこの人のコンフォートゾーンは、年寄り臭いみじめな格好とは遠く離れているのでしょう。それは素晴らしいことです。
でも、自分の身体が思うように動かせなくなって、心ならずも身の回りのことが出来なくなったら、周囲にイライラして突っかかったり、IQを下げる(認知症になる)といったことが起こるのかもしれません。少しずつゾーンを下に下げる柔軟性が、彼女にあることを願っています。

posted by dashi at 22:11| Comment(0) | 興味津々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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