2009年03月15日

映画「モーテル」

「一番怖い」と(一部で)評判の映画を娘に借りてきてもらいました。
原題は「Vacancy」、空き室あり、という掲示でしょうか。邦題は「モーテル」、2007年のアメリカ映画です。
http://www.so-net.ne.jp/movie/sonypictures/homevideo/vacancy/
監督はハンガリー育ちのアメリカ人(出身地はロサンゼルスとあります)ニムロッド・アーントル。1973年11月の生まれですからまだ30代半ば、これからという感じですね。この人がハリウッド進出第一弾として監督した作品だそうです。続編の企画も決まったそうなので、ひとまずは進出大成功というところでしょうか。

どんなに怖いかと覚悟して見ましたが、いやあ、予想以上の恐怖。見終わったとき身体がこわばっているのがよくわかりました。
映画はだいたい2時間120分が相場ですが、この映画は85分、スピーディーに話が進みます。この怖ろしさが2時間も続いたら気持ち悪くなるかもしれないので、個人的にはちょうどいいと思いました。
ホラーやサスペンスを見慣れた人は物足りなく感じるかもしれませんが、私はこういう古典的なというか、やたらと残虐なシーンがあるわけではないけれど、ひたひたとしのび寄る恐怖、に弱いです。
グロいシーンが(あまり)ないけど怖い、ということではヒッチコックの「サイコ」に通じるものがありますね。舞台設定も似ています。

<以下ネタバレあり>

近道をしようと高速を降りた挙句、道に迷った夫婦が深夜、そこがどこかもわからない寂れたモーテルに入ります。
野生のアライグマがいるような田舎道で車が動かなくなり、仕方なく2キロばかり歩いて、見かけていたモーテルまで引き返すのです。
映画のキャッチコピーに「決して、そのモーテルに泊まってはいけない」「宿泊料、イノチ」とあるように、そこは危険なモーテルであるわけです。

胡散臭さを感じた妻は再三泊まるのをやめようと言いますが、離婚寸前の夫婦は見事にお互いの言うことを聞きません。
(人生には幾度か、このような「あの時こうしておけば」「あの忠告を聞いておけば」とあとになって深く後悔したり反省したりすることが、あるんじゃないかと思います。)
でもここで妻の言うことを聞いてモーテルを出ていれば危機は去るのか、車がないのだから微妙ですね。周囲は闇に閉ざされた森だし、自分の居場所もわからない。携帯電話は圏外。
車社会のアメリカでは、長距離の移動でこんな田舎のモーテルに泊まらざるを得ないことも多いと思います。こんな映画があると、行きずりのモーテルは怖いと思う人が増えそうで、そういう意味では業務妨害だと迷惑に感じたモーテルもありそうです。

武装した殺人鬼(複数です)の襲撃に怯え、丸腰で逃げ回る怖ろしさはもちろんのことですが、この映画で私が底知れぬ不気味さを味わったのは、「スナッフ・フィルム」なるものの存在です。
そもそもなぜ敵はモーテルの宿泊客を襲うのか。単にカネが目当てなら到着してすぐ殺せばいい話です。
部屋に隠しカメラを何台も設置して、突然の襲撃に恐れおののいて逃げ回る(そして殺される)犠牲者の姿を執拗に撮り続けます。単に快楽殺人だからではない。そのフィルムが「売れる」からなのです、おそらく途方もない高値で。
スナッフ・フィルムは「実際の殺人の様子を映したフィルム」で、売買の対象になるものを指す俗語だそうです。殺人の何よりの証拠だから流通させる方も命がけですが、ホラー映画では飽き足りずにそういうものを求めて楽しむ狂気が日常に潜む気味の悪さ…。
もっともスナッフ・フィルムの「ホンモノ」はまだ表面化したことがなく、都市伝説とも言われているそうです。

誰かがやって来たので外部の人(客)だと思って必死に助けを求めたら、それがフィルムの買い手(一味)だった、というシーンがありました。
こういう映画の<お約束>ですが、頼ろうとした相手が「実はグルだった」というシチュエーションは、孤立感を際立たせ恐ろしさを倍増させますね。援軍が殺されたらなおさら。
それでも絶体絶命の状況の中諦めず、沈着冷静に賢く人間的に行動する夫婦の姿は感動的で、いろいろと考えさせられるものがありました。
すっかりネタバラシしてしまいましたが、「正統派の怖い映画」を見たい人にはオススメできる映画だと思います。
posted by dashi at 23:09| Comment(0) | 趣味 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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