2008年09月26日

軽度発達障害

先週の週末は、息子の学校が年に一度企画してくれる、卒業生対象の一泊旅行(通称「アフター」)でした。
卒業したらそれっきり、ではなくて、こうして「卒業後の様子(親も)」を気にかけてもらえるのはありがたいことです。
息子は卒業以来半年ぶりのスクールバスに乗り、おなじみの先生たちと顔を合わせて、嬉しそうでした。
行き先はよくドライブで日帰りするぐらいの近場です。
子どもだけの参加もOKですが、ウチは初めてだしたまには気分転換に…と親子で参加しました。
在校中から知っている子が多かったですが、中にはウチの息子が入学する前に卒業した、40歳を越えるオジサンも。
当たり前のことですが知的障害者も歳をとる。でも精神年齢が幼い分、歳よりは若く見えるように思います。
先輩お母さんには70歳になる人もいて、自分と息子の近い将来を見る思いがしました。

担当の先生がちゃんとついてくれ、温泉やカラオケ、寝るのも別行動です。久しぶりに息子のことを気にしないでゆっくり温泉に浸かりました。塩湯で口の周りがしょっぱくなり、よく効きそうな印象でした。
ところが、たまたま同じクラスから6人も参加していたので、夜は同窓会みたく先生方も含めて盛り上がり、ほとんど寝ないハメに。翌朝はみんな地震で目が覚めたそうですが私は気がつかず熟睡、それでも睡眠不足が響いてこの数日は眠くて眠くて閉口しました。もう徹夜はできないと改めて思った次第。
先生たちは若いからか元気いっぱいで、(代休はとらず)翌日から変わりなく仕事をするということでした。
卒業生が何十人も来ていて一人が担当するのは2、3人。先生の頭数も必要だし勉強にもなるからか、この春に着任したばかりの若い先生も数人参加していました。

帰りの、横浜駅まで高速を使っていたスクールバスの中でのことです。
一人で参加していた軽度発達障害の女の子が、私の斜め前の席に座っていました。
息子の少し上の学年に中学部から入った、いつもニコニコしている可愛らしい子で、普通に会話も出来る障害の軽い子です。あまりよく知らない私は学校で見かけて「この子がどうして養護学校に?」と思ったこともありました。
その子が二人掛けの席に一人で座っていたので、先生たちは可哀相に思ったのか、交代で何人か隣に座りに来ました。養護学校では少数派の、普通に会話が出来る子ですから、優しい先生たちはしきりに声をかけて話をします。
女の子も同世代のイケメンの先生と話せて楽しそうでした。

女の子は、その年齢の女性としてはたぶん普通のことなのでしょうが、「他人の恋愛」にとても関心がある様子。
A先生はB先生が好きですか、などといったことを延々と質問しています。「どうかなあ、じゃ、A先生に聞いてみましょう」などと、隣に座った若い先生が後ろの方にかたまって座っている先生たち(A先生を含む)に話を振ったりして、にぎやかに笑っていました。
そのうちに突然女の子は、「B先生が性同一性障害でも、好きですか」と聞きました。口跡がはっきりしている子なので、斜め後ろの私にもはっきりと聞こえました。
聞かれた若い先生は、絶句。バスの中が一瞬シーンと凍りつきました。

「ドラマででもやってるんでしょうかね」と私がささやくと、その若い先生は「そうですね、たぶん…」と視線を泳がせ、「意味、わかってるんでしょうか」と私に小さな声で聞いてきました。
「男が男を好きになったら性同一性障害、と思ってるんじゃないですか」
「そうですよね、ちゃんとわかってるわけじゃないですよね」
と、すっかり「ドン引き」の様子。ほかの先生と交代していました。
私はお節介ながら「○○ちゃん、そんな言葉使っちゃダメだよ」と声をかけずにいられませんでしたが、どうしてダメなのか、彼女には理解できなかったでしょう。

セイドーイツセイショーガイという言葉を記憶して正確に発音する身体機能と知能はある。でもその音の羅列の意味するところや、その言葉を使う場をわきまえることは、たぶん、無理。
知的な障害に理解があり慣れている養護学校の先生相手だからよかったものの、これが例えば近所の(小学校時代の)同級生相手の会話だったら、ヘンタイ扱いされるかもしれません。
相手の気持ちを思いやって言葉を選んだり、口をつぐむというのは、軽度でも発達障害がある人には難しいのではないかと思います。

福岡で先ごろ、軽度発達障害の息子を母親が殺してしまうという事件がありました。死人に口無しで真相はやぶの中ですが、息子の言葉に絶望して発作的に殺した、と母親は供述しています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080924-00000000-nnp-l40
福岡市西区の小戸(おど)公園で内浜小1年富石弘輝(こうき)君(6つ)が殺害された事件で、殺人容疑などで逮捕された母親の富石薫容疑者(35)が、体が不自由なため弘輝君にトイレ介助を頼んだ際「何もしてくれないのにお手伝いばかりさせられる、と言われて絶望的になった」と動機を供述している
あとさき考えないで口走っただけの言葉にも打ちのめされる、体調が悪いならなおさら。障害児の親の傷つきやすさに同情の余地はあるものの、おそらく減刑嘆願書は誰も書かないだろうと思われた事件でした。
posted by dashi at 23:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 自閉症関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お帰りなさい、気候もいいし、
よい旅となったようでなによりです。

性同一障害、ですか、私の周りは軽度の子が多いんですけど、ある言葉の面の意味はなんとなく知ってる(けど使い方が微妙に…周りを凍らせる)子は多いですね。年を聞かれると、「個人情報だから駄目です」といったり、「僕の自閉症は多動のタイプ。○君の自閉症はどんなタイプ?」とかいうので、自分の子も、どっかでへんなこと言ってるんだろうな〜とひやひやです。

この事件、私も もやもやしてたんです。
dashiさんならどうかかれるだろうと思っていました。


うちの息子も、小学校に入ったころは、おなかがすいたとか、思ったことと違うとかいうときに、腹が立つと、「お母さん、死ねばいい」「死んだら、お通夜とお葬式、それから焼き場で焼いて、そのあと…」と、延々と行程がのべられ、それが一晩中。聞いてた義母が絶望したということもありました。もう!私が死ねばこの子の気がすむわけ??とこっそり思ったことはありますけど…
「こどもが死んでくれたらいいのに」と発言するお母さん(でもやっぱりかわいがって育てている)もいるけど…

最後の3行に同意です。
Posted by mm at 2008年09月27日 16:50
コメントありがとうございます。
台風が予定よりずっと早く通過したので傘も持たずに出かけ、「普段の行いがいいのね」なんて笑ってました。ところが!翌日、バーベキューで昼食の焼きそばを作っているとザンザン降りに。屋根のあるところだったからなんとか出来ましたけど、ずぶぬれになりました。
天候はイマイチでした^^。

葬式の工程を延々と…というのはすごいですね。義母さんが可愛くない子だと思っても無理ないような気もします。…うまく育てられてよかったですね、お母さんお手柄^^。
思春期もまたひと悶着あるかもしれないけど、流して乗り切ってください。

殺しちゃった母親は許せないけど、たとえ生まれても「障害児と一緒でない人生」ってのもアリなんだよなあ、と、私の別れた夫のことを考えたりします。
この母親もたいした罪にはならないでしょう、執行猶予もつきそうですが、このあと何十年かをどう生きるんでしょうね。
Posted by dashi at 2008年09月27日 21:41
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