2008年08月16日

「らしい」行動

私の仕事先では自閉症の「じ」も関係ない仕事内容、仕事仲間。
息子の障害がわかって以来、接触のある人は障害関係者(主に、母親と療育に携わる人)だったり、私に自閉症の息子が居ることを知っている人がほとんど。まるきり関係のない人たちと時間を共有するのは本当に久しぶりで、ある意味とても新鮮です。
今までほとんどの人と、自閉症の息子が居るという前提で話をしていましたが、当然のことながら、「それが何か?」という世界もあるわけです。

夏休みで一週間、息子とべったりの日々を過ごしました。
ふだん、慣れているために自覚しないことが多いのですが、あらためて「そうか、この子は最重度の知的障害を伴う自閉症だったっけ」と思いなおした日々でした。
「どこか行こうか」と声をかけたら、私のバッグから車のキーを取ります。暑いから車で出かけたいのでしょう。
口はきけないけどこうやって意思表示できるから、本人もあまり不便な思いはしない。自閉症のことを「究極の自己中」と評して笑いあうことがありますが、自分の欲望のため(?)なら「キーを持ってくる」ことを覚えます。

自分の行きたい方角を指差すようになったので、特に用事がないときは、その方向に車を走らせます。
先日は途中まで来たので「油壺マリンパークに行こうか」と声をかけ、そっちへ行きました。「マリンパークに行こうね」と2、3回念押しました。行き先を前もって告げておくとスムーズにいくようです。
途中、何年も前に通ったきりの道で、住宅が増えて景色が変わっているにもかかわらず、T字路の信号で私が迷っていると「こっちだ」と言うように指差します。
マリンパーク、という言葉よりも進行方向でどこに行くのか判断しているのだと思います。

水族館は障害割引で半額、二人で一人分の料金で入れます。でも、モトは取れないと思う。
せっかくの珍しい魚にも目もくれず、行くのは回遊型の水槽と、ショー会場のみ。私がうっかり足を止めたりすると見失うので、息子の背中から目を離さずに追いかけます。
今回は回遊型(ドーナツ型)の水槽でしばし見入ってくれたので、私も珍しいノコギリエイを観察できました。反応がないのはわかっているけれど、「ほらほら、見て〜、すごい口してるね、ノコギリエイだよ〜」なんて声をかけたりして。
ショーの時間までまだ30分以上もあったので、ほかの展示を見て時間稼ぎしたかったのですが、海洋深層水館に連れて行っても一目散に出口へ向かい、私はあわてて人の間をすり抜けて後を追う始末。(所要時間1分)

まだ早すぎる、というのがわからない。ショーを楽しみに待つのならそれもいいか、と会場へ行きました。
まだ時間が早いのでガラガラ、よく見えて隣が通路(階段)の席を選んで腰を下ろしました。
幸い息子は機嫌悪くもならず待ってくれましたが、思いのほか客が多く混んできて、息子の隣の階段にまで人が座ったのは想定外でした。それも、幼稚園児ぐらいの女の子を膝に乗せたお母さん。
息子がそっちをチラッと見たので、サイアク…と舌打ちしたい気分でした。女の子の帽子に触らないか、サンダル履きの足に触らないか、ハラハラ。
私と席を替わろうかと思ったら、いつの間にか私の隣にも女の子と同じぐらいの男の子が。諦めて様子を見ることにしました。
幸いなことに息子は子どもたちに興味を示さず、前方のプールに注目しています。早く始まってくれ、と祈るような気持ちで、声をかけたりして待ちました。

芸達者なイルカのショーも堪能した帰り道、渋滞を避けて回り道をしようとしたら息子に激しく抵抗されました。
いつもの、よく通る道を走ってほしいのです。
しかたないので近道のはずの縦貫道をノロノロ進みましたが、あまりの渋滞に我慢できず、初めての横道に入りました。ところがこれが予想外の細い農道、土ぼこりをあげて対向車をよけながらのクネクネ道です。途中から中央線のある道に出ましたが、私の思惑は大きく外れ、ものすごく遠回りになってしまいました。
おそらくこのことが原因だと思います(初めての道を通るの嫌い)が、帰ってから息子は早く一人になりたかったらしく、自分の部屋に駆け込みました。
汗だくで帰ってきたのでせめてシャワーでもかけたかったのですが、ゼッタイに部屋から出ようとしません。もみあってさらに汗をかき、しかたないので濡れタオルを持ってきて息子の汗を拭きました。

混んで渋滞してても「確実に家に向かうとわかっている道」を通ってほしい、という理屈なのでしょう。
行動を固定させないために、いろんな道を通る方がいいような気もしますし、それを抵抗なく受け入れてくれることも多い。いろんな道を通って、こことあそこがつながっている、と覚えてくれれば、迷子になってもちゃんと家に帰ってくれるかもしれません。
今回はすごいクネクネ道で私も不安から何か口走ったりしたので、尾を引いたのかなと思います。
どんなに促しても部屋から出ない頑なな姿に、自閉症「らしい」行動かな、と思ったことでした。



posted by dashi at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 自閉症関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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