2007年04月11日

ニッチ

図書館の子ども向けコーナーで見つけた「モグラの鼻 ゾウの鼻」(筑摩書房)という本に、こんな箇所がありました。
「体型から考えるとクマとキツネはまったく反対。正反対の体型を持つクマとキツネが同じ北国に住んでいる」ことに関して、動物生態学者の小原秀雄さんが説明している部分(44ページ)です。
「きびしい自然環境の中で似たようなことをやっていては、分け前をとりあうばかりで生きていけない。両方はっきりと別々の方向にくらし分けたほうが生きのびられる。非力なキツネがとれないものを、クマは掘り返したり折りとったり、破壊することによって手に入れる。クマが走ってもおよばないし、巣穴を掘ったときなどしか手に入らぬネズミとかウサギは、敏捷なキツネのえさになる」
聞き手の谷川雁さんがそれを受けて発言しています。
「そうしますと、クマは冬ごもりするけれどもキツネは雪の上を活発に出歩くというのも、一種の住み分けですね。軽いエンジンをつけた者と、ディーゼルエンジンを搭載したトラックのような者との、、、」

ところでこのような住み分けのことを、生物学の専門用語では「ニッチの分化」と言うようです。
ニッチ(英語:niche)の語源はラテン語の巣(nidus)だそうです。もともとは生物が生態系内で安定した生存環境を獲得することです。
動物なら食べる餌とか隠れる場所、植物なら育つことの出来る土地の争奪戦を経て、手にいれた地位が生態的地位(ニッチ)。普通は「ニッチを獲得」した種がその場所を縄張りとします(ニッチの安定)が、まれに食べる餌や活動時間帯によって「ニッチの分化」が起こります。
昼行性のワシ・タカと夜行性のフクロウが共存している状態を「時間的にニッチを使い分けている」と表現するそうです。

また、ニッチは建築用語のほか、現在は使い方が広がって経済用語でも使われています。
建築用語のニッチは、西洋建築で「壁の凹み」。内側の壁面や柱を半円・方形にくりぬき、中に彫刻(教会堂の彫像など)を飾れるようにした部分のことです。
(ちなみに、建物の「外側」にうがった部分のことは、アプスと呼ぶようです。
http://www.weblio.jp/content/%E3%82%A2%E3%83%97%E3%82%B9
経済界で使われるニッチは「隙間産業」のこと。需要はあるのに誰も手を出さないでいたようなものをニッチと呼んだりするようです。
通販が一般化してロングテール現象が出てきたように、ニッチの中身も時代とともに変遷しそうですね。
posted by dashi at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする