日本では映画やマンガ(ブラックジャックとか)の世界でしかなじみのない狂犬病。
先ごろ京都と横浜で相次いで死亡者が出て、日本でも野良犬やコウモリに狂犬病ウィルスが!? とびっくりしました。幸いにも国内でなく、いずれもフィリピンで犬に噛まれて感染したものらしいです。
噛まれた当人には狂犬病の危険性に対する認識がなかったのでしょう。噛まれてすぐ病院に行ってワクチンを打てば発症を防げる(こういう感染症はほかに例がない)らしいですが、いったん発症してしまうと有効な治療法がないため致死率100%の恐ろしい病気です。
1970年を最後に国内では発生することのなかった狂犬病ですが、この36年前の発生というのもネパールで犬に噛まれて感染したもの。国内感染は昭和32年を最後に報告されていません。
日本はイギリス、スカンジナビア半島の一部、オーストラリアなどとともに狂犬病の発生がない国とされていますが、それ以外はたいていの国に見られるありふれた病気です。
野生の動物に噛まれたら狂犬病の恐れがあるという認識を、海外に出る人はもっと徹底して持つべきかと思います。頻発している国へ行くときは、事前に予防接種(破傷風も)を受けておくと安心ですね。
日本人は野生の動物に対して抵抗がなく、迷い込んだアザラシが人気者になったり、崖で動けなくなった野良犬が救出されたら喜ぶといった、ある種無邪気な反応がありますね。野良犬は狂犬病の予防注射はしてないだろうから、救出に向かった保健所の職員は大丈夫かな、と私は考えましたが少数派だと思います。
なお狂犬病ウィルスはヒトからヒトへの感染の心配はないそう(終末感染)です。
水を飲もうとすると喉がけいれん発作を起こし、水や食物を飲み込めなくなる。飲むと非常に苦しいので、しまいには水を見るだけで怯える。これが狂犬病の特徴とされる恐水症です。風の刺激を怖がる恐風症というのもあるそうです。
人間は幻覚、錯乱や高熱、麻痺などの神経症状を起こす。犬の場合はやたらと歩き回って吠え、見るものすべてに噛みつくようになるということですから、狂犬病という命名もうなずけますね。
凶暴にならない麻痺型の狂犬病もあり、こちらは特にコウモリに噛まれたときに多い。これは死亡まで比較的時間があるそうですが、普通は2〜7日で昏睡に陥り死亡するそうです。
狂犬病ウイルスに感染してから潜伏期間が平均30日、2週間から1年と幅があります。感染から時間が経って発症し、恐水症など典型的な症状を見せない人もいるので、原因不明の神経症状の患者が死後の解剖で初めて狂犬病とわかる場合もあるそうです。
日本の狂犬病が封じられたのには戦後の徹底した野犬狩りが効を奏したのと、狂犬病予防法で飼い犬に年に一度の予防接種を義務づけていることが大きいようです。ただ高価なこともあってその予防接種率は38%前後。日本で狂犬病になりっこないと油断している飼い主も多いのでしょう。
でも未接種の飼い犬が人を噛んだら大変な事態。相手は高いワクチンを6回も受けなければならないし、通院の補償も必要です。未接種では傷害保険も出なかったりするようですね。それに犬は薬殺処分になると思います。
接種率が低いのは費用がかさむのが主な理由でしょう。ワクチンの原価はびっくりするくらい安いものだそうですから、国としては予防接種の料金を下げて接種率をあげるように指導するべきではないかと思います。
でも国内でいくら防止しても、外国船に乗って来た動物が埠頭でいなくなったり、密輸入される動物もいるようですから、流入の危険はあると思います。
狂犬病は犬だけでなくすべての哺乳類に感染する珍しい病気だそうです。感染しても発症まで時間があるので、その間は一見異常のない元気な姿。でも餌をくれた人に噛みついたら伝染させてしまいます。野生のリスなどに手渡しで餌を与えるのは危険かもしれません。
わが家の庭に現われたことのあるアライグマも、外国では感染源と見なされているようです。可愛い姿をしていますが気性どおりに危ないヤツかもしれません。

